薬物動態

<リスト> 薬物動態 ~血中濃度に関連する薬物動態パラメータの理解のために~ [★★]

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「薬物動態」シリーズについて
「はじめに」で記載しましたが、「薬物動態」の分野は薬学部以外の学部出身の方だと馴染みが薄く、さらに「Cmax, AUC、Tmax、t1/2、Vd、CLtot」などの様々な記号が出てくるため、非常にとっつきにくい分野かと思います。
そこで本ブログでは、添付文書やインタビューフォームに記載される薬物動態の内容を把握するのに抵抗感がなくなる、というところを当初の目的としていました。
(全体を書き終えてみると、少し深く入りすぎた感じもしますが)

薬の効果(有効性)と副作用(安全性)は血中濃度で決まるため、病態時(肝機能障害や腎機能障害など)においては血中濃度の変動にあわせて、薬の投与量や投与間隔を調整する必要が出てきます。
血中濃度は薬物動態パラメータの変動により変化するため、血中濃度の動きを把握するためには、分布容積(Vd)、全身クリアランス(CLtot)といった薬物動態パラメータについて理解しておく必要があります。
そこで、本ブログでは、薬物動態の中でも「血中濃度」に限定し、それに関連する薬物動態パラメータの話に的を絞って整理しました。

さらに次の段階の目標は、「病態時における血中濃度推移を薬物動態パラメータの変動から予測し、薬の投与量や投与間隔の設定に活かしていく」というところになりますが、それについては本ブログの参考書籍としてきました「緒方宏泰 編著 第4版 臨床薬物動態学 薬物治療の適正化のために(丸善出版)」のメインテーマとなっております。
ただ、こちらの書籍はハードルがやや高いですので、その架け橋をするような位置づけで本ブログを書いてきました。

リストと解説
●本ブログ「薬物動態」の方向性と、血中濃度の基本的な考え方、そして血中濃度を表す最も基本的な指標(Cmax、AUC、Tmax、t1/2)について説明しました。
あわせて、インタビューフォームのどの項目に掲載されるのかについても紹介していくこととしました(本シリーズ全体を通してです)。
薬物動態 はじめに [★★]
薬物動態 血中濃度の基本的な考え方 [★★]
薬物動態 インタビューフォームの項目、血中濃度の指標 [★★]

●血中濃度を最もシンプルに考えることができるのは、投与した薬の全量が血中に到達する「静脈内投与」の場合です。「経口投与」では肝臓で初回通過効果を受けるため、薬の全量が血中に到達しません。以下の記事ではそのことについて説明し、血中に到達する割合を示す薬物動態パラメータ「バイオアベイラビリティ」についても説明しました。
薬物動態 経口投与と静脈内投与の違い、バイオアベイラビリティ [★★]

●血中濃度を決める薬物動態パラメータの話に入っていきます。血中濃度を直接的に決定する薬物動態パラメータである「分布容積(Vd)」と「全身クリアランス(CLtot)」について説明しました。クリアランスについては、臓器クリアランス、固有クリアランスの説明も加えました。
薬物動態 血中濃度を決める因子① 分布容積 [★★]
薬物動態 血中濃度を決める因子② 全身クリアランス [★★]
薬物動態 全身クリアランスと臓器クリアランス・固有クリアランス [★★]

また血中濃度推移のまとめとして、血中濃度推移は「分布容積(Vd)」と「全身クリアランス(CLtot)」のみで決定されることを示しました(初濃度=D/Vd、傾き=CLtot/Vd、AUC=D/CLtot、t1/2=0.693/kel=0.693×Vd/CLtot)。
薬物動態 血中濃度推移のまとめ(分布容積・全身クリアランス・消失速度定数との関連) [★★]

さらに、静脈内投与から経口投与への拡張と、血中濃度推移を理解する意義(病態時の変動予測)について説明しました。
薬物動態 血中濃度推移の補足(経口投与、血中濃度推移を理解する意義、インタビューフォームの項目) [★★]

●少し話が途切れますが、これまで単回投与の話しかしてきませんでしたので、反復投与の説明をしました。
薬物動態 反復投与(蓄積、定常状態など) [★★]

●血中濃度を決める因子についてさらに深く入り、分布容積(Vd)や全身クリアランス(CLtot)に関連する因子について説明しました。
その際、実際に作用するのは、タンパク質に結合していない非結合型(遊離型)の薬物であるということを説明しました。
薬物動態 血漿タンパク結合率と非結合型分率、分布容積への関与 [★★]
薬物動態 クリアランスに関連する因子 [★★]

本ブログでは、血中濃度を決める因子の最終形態図を以下のようにまとめました。

そして、病態時における薬物動態パラメータの変動から、血中濃度推移を予測し、投与量や投与間隔の設定に活かしていく、という話でまとめました。

●最後の記事として、薬物動態は実は「血漿中濃度」ではなく「血中濃度(全血中濃度)」で考える必要があることと、薬物の効果(有効性)と副作用(安全性)は実は「非結合型(遊離型)の薬物濃度」で決まるという、これまで伏せてきた2点を説明(暴露)し、「臨床薬物動態学」の書籍へとバトンタッチすることといたしました。
薬物動態 全血中濃度と血漿中濃度、B/P比、非結合型濃度(遊離型濃度) [★★]

(参考書籍)
「緒方宏泰 編著 第4版 臨床薬物動態学 薬物治療の適正化のために(丸善出版)」
→編著の先生が講義も行っておりますので、「薬物動態」「編著の先生名」「講義」などで検索してみるとよいでしょう。
(本ブログで直接的に紹介すると問題となりそうですので、このような記載に留めさせていただきます)

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