はじめての投稿にかかわらず、水虫という陰気なテーマでお届けします。
本当は春に公開しようと思っていて、花粉症の話題から入ろうと思っていたのですが、準備や激務などで大分遅れてしまいました。
とすると、季節的には水虫かな?ということで、よろしくお願いします。
さて、タイトルの★の説明含め、このブログについては以下をまずご参照ください。
この記事は★1つなので一般の方も読みやすい内容です(おそらく)。
本ブログについて
https://med-seeker.com/about2/
さて本題ですが、水虫を経験したことのある方はどれくらいおりますでしょうか?
軽いうちは結構気づきにくく、いつの間に”うわ~こんなにことになってる!”という方もおられるのでは?
仕方なく皮膚科に行って、ぬり薬もらってきて、嫌々ぬりはじめるのですが、毎日ぬるのって結構大変なんですよね。
ぬり忘れることもありますし。
⇒薬のぬり忘れや飲み薬の服用忘れって、実はそれまでの苦労を水の泡にする行為なのです。
このことについては、また後日触れようと思います。
頑張って1日、2日とぬりはじめ、やっと1週間。
何か、よくなったのかどうかよく分からない…
もう少し続けてみよう、ということで10日、2週間、
少しよくなった気がするけど、毎日ぬっているのにこんなに治らないものなのか?耐性菌でもできたのでは?
などと思ったことありまでんか?
薬がどれくらい効果があるかについては、
本ブログについて
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に書いたように、臨床試験の結果がほぼ全てなので、まずは最も基本となる情報である添付文書で薬の効果について確認してみます。
今回は僕がお世話になっているメンタックスクリームについてみていきたいと思いますので、メンタックスクリームの添付文書をPMDAのサイトからダウンロードしてください。
(ダウンロードの仕方は、すぐ上の「添付文書」のリンク先を参照してください)
検索ワードは「メンタックスクリーム」でもよいですし、一般名「ブテナフィン塩酸塩」でもよいです。
ちょっと脱線しますが、メンタックスクリームの添付文書右上(メンタックスクリーム、外用液、スプレーと大きく書いてあるすぐ右下)に販売開始の年月が記載されていますが、
販売開始:1992年4月
と記載されているように、結構古い薬ですね。
1992年って、25年も前に使われ始めたということです。
さて、効果についてみていきたいと思いますので、添付文書2頁目、
左上の【臨床成績】の箇所をみていきます。
「1.臨床成績」をみてください。
表になっていて、有効率が数値で記載されています。
~添付文書をすぐにみれる環境にない方へ(外出中などで)~
こんなデータです。(必要あるところのみ抜粋)
メンタックスクリーム1%
足部白癬 81.8%(270/330)
股部白癬 89.4%(93/104)
体部白癬 86.1%(124/144)
※自分でデータをみる訓練のためにも、なるべく添付文書をダウンロードして確認するようにしてくださいね!
-ここまで-
水虫の正式な疾患名は「白癬」といいます。
足の水虫では「足部白癬」ですので、その数値をみてみます。
(ちなみに、俗に言う「いんきんたむし」は「股部白癬」で、その結果ものっていますね)
メンタックスクリーム1%の有効率は、
足部白癬…81.8%
股部白癬…89.4%
とありますので、どうやら8割~9割くらいの人で効果がありそうです。(10人中8~9人ということです)
おっ! 結構効きそうな薬じゃん。
2週間ぬっているのにあまり効かないって、10人中1人の方に入ってしまったのか?
という前に、もう少し調べてみます。
この添付文書の臨床成績、何日ぬったのかが書かれていませんね。
情報が足らないということです。
そこで、次にインタビューフォーム(IF)を確認してみることにします。
インタビューフォームの取得の仕方は添付文書と同じで、こちらもリンク先に記載していますので、参考ください。
さて、インタビューフォームを開いてみると、39頁あります。
はじめて見る方からすると、結構なボリュームと感じられるかもしれませんが、39頁は少ない方で、60~80頁程度あるインタビューフォームもたくさんありますし、100頁を超えているものもあります。
と脅しても仕方ないのですが、見る箇所は限られていて、
「Ⅴ. 治療に関する項目」
に臨床試験の結果が記載されています。
一つ一つみていきましょう。
※インタビューフォームがダウンロードできる環境にない方は、以下「ぬり薬をぬった期間」の情報に注意して、以下を流し見してください。
「Ⅴ. 治療に関する項目」は9頁(頁下に記載してある番号で、PDFを開くと上などにでる番号ではありません)からはじまっていて、その中で「3. 臨床成績」をみていきます。
なお、(2)の「臨床効果」は、先ほどの添付文書と同じ記載ですね。
この(2)の項目に、添付文書の内容がそのまま記載されていることが多いです。
まず、10頁目により詳しく記載された臨床試験の内容があります。
対象をみると、「手・足部白癬」212例とあります。
結果を先に読んでみると、
「クリーム剤及び液剤の1日1回の塗布により、白癬及び癬風患者に対して優れた有用率(78.9%~89.7%)を示した」
とあるので、添付文書の80%前後と大体あっています。
足りない情報は何日ぬったのか?でしたので、「試験方法及び試験期間」のところをみてみます。
すると、「試験期間:手・足白癬及び爪囲炎では4週間」
とあるので、1日1回、毎日4週間ぬり続けると、80%前後の人に効果がある。
と読めます。
つまり、10日~2週間ぬり続けただけではおそらくダメで、
4週間にかけて毎日根気よくぬらないと、結果が期待できないということです。
試験期間の部分に記載されている、「その他の疾患は2週間」にも着目すべきで、その他の疾患が2週間であるにもかかわらず、足白癬では4週間とされているのには、訳があると考えるべきです。つまり、何らかの理由から、2週間では十分な効果が見込まれないと考えられ、試験期間が4週間と設定されたはずです。
他の臨床試験もインタビューフォームに掲載されているのでみていきますと、
11頁の試験でも足部白癬の試験期間は4週間、その他の疾患は2週間です。
結果も同様で、手・足部白癬の「有効以上(%)」はメンタックスクリーム(ブテナフィン)で77.8%、と80%前後の結果です。
12頁上の試験も同様ですね。
12頁下の 「3. 安全性試験」の「長期投与試験」をみると、もう少し有益な情報があります。
結果に記載してある「総合効果(有効以上)」とか、「有用性(有用以上)」とか、少し用語に混乱しますが、ここはとりあえず、どちらも「有効性の指標」であるとのみとらえておいて、%の部分のみみていきます。
なお、対象は足部白癬で、試験期間は1日1回を4~8週間になっていますね。
~結果の抜粋~
総合効果(有効以上) 4週:57.9%、8週:100.0%
有用性(有用以上) 4週:63.2%、8週:99.5%
4週での有効性は総合効果が57.9%、有用性が63.2%ですので、6割前後といったところでしょうか。先ほどまでの臨床試験での4週で8割前後に比べて、2割程度低くなっていますね。
その理由については分からないのですが、あまりこの差は大したことではありません。
重要なのは、8週での数値が総合効果で100%、有用性で95.5%と、4週に比べて割合が高くなっていっていることです。
これを意味することは、4~8週の間により水虫が改善しているということで、裏を返すと4週の時点では完全に治ってないことがある、と理解できるということです。
つまり、この薬を使った場合、10日や2週程度毎日ぬったとしても効果が不十分であるのは明確で、根気強くぬり続ける必要があるのです。
4週で大体治ったと思っても、まだ完治してないことも多く、ここでやめると、またぶり返します。
この長期試験の結果をみる限りでも8週間ぬり続ける方がよいでしょうし、それでも完全に完治しているかは分かりませんので、もっと継続した方がよさそうです。
いかがでしたでしょうか?
あまりお医者さんも何日ぬってくださいね。とか具体的に言わないですし、データのこととか話してくれないので、自身が勝手に解釈していることも多くあるかと思いますが、データをみて判断することで、本当のところがみえてきます。
次回ですが、同じ水虫シリーズで爪の水虫「爪白癬」について書いてみたいと思います。
それでは。
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