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インフルエンザの薬の効果② [★]

投稿日:2017年11月12日 更新日:

前回の続きで、インフルエンザの話です。
今回は「インフルエンザにかかってから48時間以内に服用しないと…」の件ついてお話します。

なぜ48時間以内になのか? の答えを単刀直入に言いますと、
インフルエンザにかかってから48時間以降に服用したという臨床試験がされていないからです。
よって、48時間後以降に服用した場合、効果があるかもしれませんし、ないかもしれません。
ということです…

インフルエンザウイルスは感染したら増殖していき、48時間後にピークになるから48時間以内に飲まないと効果がない、という説明をインターネットなどでよくみかけますし、ウイルスが48時間付近でピークになるのも実際にそうなのかもしれませんが、効果との関係は実際には証明されていません。
結局、現時点での48時間以内の根拠としては、48時間以降に服用したという臨床試験結果がないので、臨床試験で効果があるとされた方法で投与しましょう、ということです。

まあ、ウイルスは短時間で一気に増殖していきますので、可能な限りすぐに薬を飲みたいところではあります。(早く叩いてしまうに越したことはないと思います)
ただ、感染直後では検査で確認できない(陽性にならない)可能性もある、などと医者から言われて、結局薬を飲むまでに時間が経ってしまうことも多いですが…
(私だったら、とりあえず結果がでなくてもいいから、即検査させてくれ!と言います)

また、48時間以降の服用で全く効かないか、というとそんなことないかと思います。
(ウイルスが増大し、症状が悪化してからの服用になり、また免疫力も多少できてきていると思いますので、効き目としては弱く感じるかもしれませんが)
(あくまでも私の所見です。以下もです。)
ウイルスが48時間以降なぜ減っていくのか、についてはヒトの免疫力が勝っていくからだと思います。48時間以降もウイルスは増殖するのだけれども、ヒトの免疫力の方が徐々に大きくなり、最終的にウイルスが全滅してしまうということかと思います。
(ドラゴンボールで言うところの、かめはめ波とギャリック砲の争いのような感じでしょうか?どちらもパワーを上げていきますが、徐々にどちらかが押されていき、片方が消滅してしまうイメージ)
よって、48時間以降の服用になってしまったとしても、抗ウイルス薬というパワーを授けたほうがウイルスをやっつけやすいと思うのですが…
(すみません。何も根拠がないので、私の単なる所見です)

話を真面目に戻します。「48時間以降の臨床試験の結果がない」と記載しましたが、前回お話したタミフルの臨床試験では「発症後36時間以内の患者」が対象となっています。
また、添付文書の<用法・用量に関連する使用上の注意>には
「治療に用いる場合には、インフルエンザ様症状の発現から2日以内に投与を開始すること(症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない)。」
と記載されています。
タミフル以外に使用される「リレンザ」や「イナビル」も同様で、添付文書に同様の記載があります。

一つ、マウスを用いた実験では、特に48時間以内の投与が有効であった、という結果が報告されています。(ヒトとマウスの結果は大きく異なることもあるので、そのことを踏まえて参考程度にするのがよいです。そもそもヒトに感染するインフルエンザウイルスはマウスにはほとんど感染しませんしね。)
ただ、「早期投与の重要性」というのはこの結果から読み取れるかと思います。
※どんな病気でも、「早期治療」が重要です。

簡単にこの実験結果を説明しますと、マウスに
①プラセボ
②オセルタミビル 5mg/kg
③オセルタミビル 20mg/kg
④オセルタミビル 80mg/kg
のいずれかを投与することで検討しています。
(オセルタミビルはタミフルの有効成分ですね。)
(5mg/kgというのはマウスの体重1kgあたり5mg投与という意味で、マウスが仮に20gだとすると、20g=0.02kgですので、5×0.02=0.1mg投与となります。ただ、マウスへの投与量を考えても仕方ありませんので、ここでは小・中・大の3つと単純に考えてください)

投与のタイミングは
<1> 感染後24時間後(1日後)
<2> 感染後48時間後(2日後)
<3> 感染後72時間後(3日後)
の3通りで比較しています。

まず、①のプラセボ投与では投与のタイミングにかかわらず全て死亡しています。
次に②の5mg/kgですが、感染24時間後に投与した場合は約半数が生存、感染48時間後では全て死亡しています。
③の20mg/kgですが、感染24時間後に投与した場合は約80%が生存、感染48時間後では約70%が生存、感染72時間後では全て死亡しています。
④の80mg/kgでは、感染24時間後に投与した場合は約90%が生存、感染48時間後では約60%が生存、感染72時間後では約10%のみが生存しています。
(③④で48時間の結果が逆転していますが、検討したマウスの数も少ないので、大した意味はなく、たまたまかと思います)
※「死亡」というと怖いイメージを持たれる方もいるかと思いますが、これはマウスの話ですので、「死亡」は「病状の度合い」と考えてください。

このように、効果の大小で言うと(特に③④の量で考えると)、
感染24時間後>感染48時間後≧感染72時間後
となっています。
この結果をそのままヒトに当てはめるのはどうかと思いますが、ウイルスは倍⇒倍⇒倍で増えていきますので、はじめは増殖が遅いですが、そのうち一気に増殖することを考えると、何となく想定内の結果なのかと思います。
よって、感染後できるだけ早いうちに薬を飲み、ウイルスが増大する前に叩くというのは重要かと思います。

(マウスの実験の引用元:J Infect Dis 2014; 209: 1343-1353)

今日の話をまとめますと、ポイントとしては、
<ポイント>
1.「48時間以内に服用」の理由は「臨床試験がされていない」ということで、48時間以降の服用で効果があるかどうかは明らかではない(効かない、とも言えない)。
2. 一方で、マウスの実験結果や、ウイルスが倍⇒倍で増えることを考えると、感染後できるだけ早く薬を服用したほうがよさそう。(早期治療の重要性)

の2点となります。
今回、話が行ったり来たりですみません。
次回はタミフル以外の薬を簡単に取りあげて、インフルエンザの話は終了とします。

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