★血中濃度

血中濃度が薬の効果や持続時間の指標-①(準備編)[★]

投稿日:2017年8月15日 更新日:

前々回くらいに薬の量と効果・副作用の関係(至適用量)という話をしたのですが、この話をもう少し深く理解するためには「血中濃度」というものを理解する必要があります。

薬の効果や副作用が現れる源というのは、「血中濃度」といっても過言ではありません。「血中濃度」とは言葉の通り、薬の血液中の濃度(血液中に含まれる薬の量)なのですが、同じ薬の量であっても投与の仕方で血中濃度が変動します。

例えば、注射により体内に薬を届ける注射剤や、飲むことで体内に薬を届ける経口剤など、薬には様々な型がありますが、注射剤と経口剤では同じ薬の量であっても血中濃度に差がでてきます。

まず、注射剤、経口剤のいずれにしても血液中に薬がまず運ばれます。その後、薬は血液の流れによって症状のある組織に到達します。
例えば風邪でのどが痛くて薬を飲んだとします。このとき、薬は直接のどに向かうわけではありません。飲んだ薬が血液に運ばれ、血液の流れにより薬がのどに到達して作用があらわれます。

~薬が作用するまで~
①まず薬が血液に運ばれる
②その後、血液中の薬が症状のある組織に到達して作用があらわれる

よって効率よく薬が効果を発揮するには、薬が血液に運ばれるまでの障害物がない方がよく、そのためには直接血液中に薬を入れる必要があります。それが注射により薬を静脈に入れる「静脈内投与」です。

一方経口剤の場合、まず薬が腸にたどり着いた後、腸から肝臓に移動します。このとき、肝臓で薬の一部が分解されてしまいます。
(これを、「初回通過効果」と言います)
肝臓で分解されずに残った薬が血液に運ばれ、組織に到達します。

~経口剤(飲み薬)が作用するまで~
⓪飲んだ薬が腸にたどり着いた後、腸から肝臓に移動し、薬の一部が分解される。
①分解されなかった薬が血液に運ばれる
②その後、血液中の薬が症状のある組織に到達して作用があらわれる

⓪がある経口剤では、明らかに無駄が多いことが分かりますね。
よって同じ薬の量でも、⓪のない静脈内投与と⓪のある経口投与では血中濃度に差が出てきます。
(これは、先ほどの初回通過効果の程度によります)

静脈内投与した際、または経口投与した際の血中濃度は時間とともに以下のように推移します。
(あくまでもイメージです)

ここまで理解できましたでしょうか?
この知識を基に、次回は血中濃度と効果、安全性の関係についてみていきます。

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