★血中濃度

飲み忘れは努力を水の泡にする!-①(理解編)[★]

投稿日:2017年9月10日 更新日:

前回まで血中濃度関連の記事を7回にわたり書いてきましたが、一旦締めということで、飲み忘れの話をしたいと思います。

薬ってどうしても飲み忘れてしまいますよね!?
私もよく飲み忘れてしまいます。
しかし、タイトルに書きましたように「飲み忘れ」といのは、それまでにコツコツ頑張って薬を飲んできた努力を水の泡にする場合があります。
それはなぜでしょうか?

例として1日1回飲む薬を想定します。
血中濃度の変動の仕方が異なる薬Aと薬Bを考えてみます。
下の図をみてください。

薬Aは1日後(24時間後)までに血中から全てなくなるタイプの薬としました。
薬Bは1日後(24時間後)も薬が血中に残るタイプの薬としました。

薬Aの場合は飲み忘れたとしても全く問題になりません。
問題となるのは薬Bのタイプのものとなります。
薬Bは1日後も血中に残っていますので、2回目に飲んだ後の血中濃度は下の図のように変動します。

1日後に比べて2日後の方が血中濃度が大きくなりましたね!
よって、3日後、4日後と飲み続けるにつれて、血中濃度もさらに大きくなっていきます。

これを続けていると、限りなく血中濃度が大きくなるかというとそうではありません。
血中濃度があるところまで大きくなると、そこでストップして同じ値で推移するようになります。
この状態を「定常状態(steady state)」と呼んでいます。
(下の図では5日目以降を仮に定常状態としていますが、定常状態に達するまでの時間は薬によって異なります)

このようなタイプの薬の場合、定常状態の血中濃度付近が至適血中濃度(有効性と安全性のバランスのとれた濃度)であることが多くあります。

さて、Bのタイプの薬を飲み忘れるとどうなるでしょうか?
定常状態に達する前に飲み忘れた場合の例を下に示しました。
飲み忘れにより、一気に血中濃度が下がってしまいますので、また一からやり直しですね。
至適血中濃度に達するまで、効果は期待できませんので、効かない日々(症状がつらい日々)が続きます。

定常状態に達した後でも、せっかく至適血中濃度であったのに、一旦外れてしまうので、効果が一時的に薄れてしまいますね。

このように、次回の薬の服用時まで血中に残る薬のタイプでは、飲み忘れに注意する必要があります。
それではこのタイプの薬をどう調べればよいのか?
長くなるので次回といたします。(今回で一旦締めの予定でしたが、1回延長します)

それでは乞うご期待!

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