★血中濃度

薬と薬の飲み合わせはなぜ怖い?[★]

投稿日:2017年8月27日 更新日:

いくつも病気をお持ちの方では、たくさんの薬を出してもらっている場合もあるかと思います。例えば高血圧と糖尿病、腎臓病の薬などさまざまですが、複数の薬を服用する場合には注意が必要です。注意が必要といっても医師や薬剤師が判断してくれますので、今飲んでいる薬についてきちんとお話するようにしましょう。

これについては、薬を薬局でもらうとき、「今飲んでいるお薬はありますか?」と聞かれることがあるかと思います。また、はじめて行った薬局で記入を求められる問診票(アンケート)の中に、今飲んでいる薬について記載する項目があります。

それではなぜ注意しなければいけないかというと、前回までの話とまったく同様で、薬と薬の間で血中濃度を変動させることがあるからです。例えばAという薬とBという薬を同時に服用するとき、Aの血中濃度はA単独で服用した場合に比べて変動しないが、Bの血中濃度はB単独で服用した場合に比べて増加したとします。
(前回までの復習ですが、血中濃度の増加というのはCmaxやAUCの増加のことです)

この場合、Aの薬の量は問題になりませんが、Bの薬の量が問題となります。血中濃度が増加するということは、副作用が出る高まる可能性がありますので、Bの量を減らす必要があるかもしれません。

具体的に実際の薬をあげてみていきたいと思います。
まず、薬と薬の飲み合わせのことを「薬物相互作用」と言います。
そして添付文書においては、「相互作用」という項目があり、そこに2つの薬を同時に使用(併用)した際の血中濃度の増減(CmaxやAUCの増減)について記載されています。

例えば「食前?食間?~食事の影響について~[★]」での説明に用いたラジレス錠(一般名:アリスキレンフマル酸塩錠)についてみてみますと、添付文書2頁目の左から右上にかけて様々な薬との併用について記載されています。

まず、(1)併用禁忌ではイトラコナゾールとシクロスポリンが挙げられており、例えばイトラコナゾールでは、
「併用により本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。併用投与(空腹時)により本剤のCmaxが約5.8倍、AUCが約6.5倍に上昇した。」
とあります。「本剤の」とあるので、ラジレス錠の血中濃度が増加しており、ラジレス錠による副作用の懸念があります。
「併用禁忌」とは、併用してはいけないということですので、ラジレス錠とイトラコナゾールは同時に使用できないということです。
一方、(2)の併用注意とは「使用してはいけない」までいかず、「使用してもよいが注意して投与」ということになります。

前回までも記載してきましたが、血中濃度の増加では副作用の懸念が高まり、逆に血中濃度の減少では効果の減弱が懸念されます。

また、相互作用ではどちらの薬に影響があるかを注意しなければなりません。
先ほどの併用禁忌のラジレス錠とイトラコナゾールでは、ラジレス錠の血中濃度が変動しており、イトラコナゾールについては問題視されていません(記載がないので)。
一方、併用注意の1つ目にあるフロセミドでは「フロセミドのCmaxが49%、AUCが28%低下」とありますので、この薬ではラジレス錠ではなくフロセミドの血中濃度の変動が問題となっています。よって、表に「フロセミドの効果が減弱されるおそれがある」と記載されています。

ポイント
薬Aと薬Bの併用では、Aの血中濃度とBの血中濃度の両方をそれぞれみる必要がある。


いかがでしたでしょうか?血中濃度の話もあきてきたと思いますが、あと2回ほどお付き合いください。
次回は皆様に興味あると思われる、「ジェネリック医薬品」の話をしたいと思います。

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