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薬の量と効果・副作用の関係 ~至適用量の話~ [★]

投稿日:2017年7月30日 更新日:

今回は薬の量についてのお話です。
薬は1日の服用量や服用回数が決められていますが、これは臨床試験の結果を基に厳密に決められています。
臨床試験から得られた①有効性(効果)のデータと②安全性(副作用)のデータを基に、量や回数が決められるのです。

薬の量と効果、副作用の関係を図に示すと以下のようになります。

どんな薬にも副作用はあります。一般的に薬の量を増やすと薬の効果が高くなりますが、その反面、薬の量を増やすと副作用も起こりやすくなります。副作用の起こる種類も量と共に増えていきます。
薬の量や回数は、有効性がある程度高く、副作用が許容できるラインを引いて、決定されます。
(この有効性と副作用のバランスを考慮し、薬の効果が最も得られる量を「至適用量」と呼びます。)

例えばある飲み薬について、症状が軽い方の場合は1日50mg、症状が重い方の場合100mgという2通りの服用量が定められていたとします。
この場合、仮にですが、臨床試験で25mg、50mg、100mg、200mgという4パターンの量で試験が行われたとすると、
有効性:25mg<50mg<100mg<200mg
安全性:25mg>50mg>100mg>200mg
となることが多いかと思います。

ここで、一番量の少ない25mgでは明らかに有効性が低いということであれば、その量は使用しても意味がないということになるので、25mgという量は除外されます。
一方、一番量の多い200mgでは有効性は高く得られるものの、副作用が多くでてしまう、ということであれば200mgは除外されます。

そうすると、50mgと100mgが残りますが、
有効性:50mg<100mg
安全性:50mg>100mg
ですので、まだ症状が軽い人には副作用の少ない50mgを、症状が重い人ではもう少し効果があった方がよいので50mgに比べて少し副作用は増えるけど100mg、
というように量が決められていきます。

だから、自分で勝手に量を増やして飲んでしまう、というのはナンセンスかと思います。

また、量が多くなると副作用の種類が多くなることにも注意が必要です。
例えば薬の添付文書にどのような副作用が起こるかが書いてありますが、ここで書いてあるのは臨床試験で明らかとなった副作用しか書いてないのです。
つまり、1日50mgと1日100mgという飲み方がある場合、この量で服用したときにあらわれる副作用が書いてあるということです。
これを1日500mg飲んだ場合、添付文書に記載されていない未知の副作用があらわれる場合もあります。

なお、薬の服用回数についても考え方は同じです。

「臨床試験で明らかとなった副作用がまとめて記載されている」ということを覚えておいていただければと思います。

今回は短いですが、以上です。

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